体型別性格の従来の解釈との比較

 


体型と性格の関連性に関しては、ドイツの精神科医であるエルンスト・クレッチマーや、アメリカの心理学者であるウィリアム・シェルドンが、それぞれ三種類の体型に分類しました。このホームページで発表している体型別の性格の分類は、それらの類型を元にさらに発展させて、日本人の体型を基準として14種類に分類してあり、それを体型別性格類型と言います。
気質は性格の基盤となる先天的な心理的傾向です。体型別性格類型で分類される性格は、基本的には気質を表しています。しかし、性格や体型は生活経験によって変化することがあるので、体型別に分類した心理的傾向を、あえて気質とせず性格と表現して、体型別性格類型としました。

このページには、従来の心理学的解釈の説明がない体型に関しては、記述していません。体型別のそれぞれの特徴と性格については、詳しくは体型別性格類型の項目をご覧下さい。


自己顕示性が強い性格で、外向的な性格は顕示性気質と言い、大人型に当てはまる性格です。従来の心理学では、自己顕示性が強い性格の代表格に、演技性パーソナリティ障害があります。顕示性気質は自己顕示性が強い性格ですが、演技性パーソナリティ障害の特徴があまり当てはまりません。むしろ、自己愛性パーソナリティ障害の自覚がないタイプや、妄想性パーソナリティ障害の誇大妄想をするタイプと似かよっている特性があります。

従来の心理学では、自己顕示性が強い性格は外向的な性格と解釈される事が多いようですが、自己顕示性が強い性格には、内向的な性格も存在します。自己顕示性が強い性格で内向的な性格は、内向型顕示性気質を略して内顕性気質と呼んでいます。小太り型の性格である内顕性気質は、自己愛性パーソナリティ障害の過剰警戒型の性格傾向に類似性があります。

尚、顕示性の性質を表す、外向的と内向的という言葉の意味は、ユングの性格分析による解釈ではなく、一般的な解釈の方です。例えば、内向的な性格とは、関心が自分の内側に向かっている傾向の性格ではなく、内気な性格というニュアンスで内向的という表現を用いています。 自己顕示性が強い性格の外向的な性格と内向的な性格に関しては、具体的に性格を比較して説明しているので、詳しくは顕示性の外向と内向の項目をご覧下さい。


肉厚型を従来の心理学の性格類型で言い表すとすれば、クレッチマーの気質類型論の闘士型になります。体型別性格類型では、他にも闘士型のように逞しい体型があります。他のタイプと区別する意味でも、闘士型と同じタイプの体型を、肉厚型としました。
闘士型は、てんかんに多い体型とされています。しかし現在では、てんかんと特定の性格についての関連性は、厳密には認められていないようです。ですが、クレッチマーの考えるてんかんに多いとされる体型と、てんかんに多いとされる性格に関連性があることは、間違いないと思います。
従来の心理学では、闘士型に当てはまる性格について、粘着気質という呼称が日本では広く使われています。粘着気質は、丁寧すぎるくらいに几帳面で、努力家で粘り強いタイプです。ですから、粘着気質という表現でも、闘士型の性格の特徴をよく表しています。しかし、人の心の性質を表現する時に、特にネット上では、しつこいとか、ねちっこいというような批判的なニュアンスを込めて、粘着という言葉が使用される場合があります。性格の特徴を示すのに粘着という表現だと、一般的にはマイナスのイメージを与えかねません。 粘着気質は、全般的に秩序を守ろうとする性格です。その為、肉厚型に当てはまる性格傾向を、秩序性気質としました。

肥満型を従来の心理学の性格類型で言い表すとすれば、クレッチマーの気質類型論の肥満型の同調性気質(循環気質)になります。同調とは他のものと調子を合わせることであり、同調性のある性格は、円満な人付き合いが出来る性格です。肥満型以外の体型の人にも同調性のある性格が見られるので、判りやすく区別する意味でも、肥満型に当てはまる性格の傾向を、軽調性気質としました。
従来の心理学では、肥満型の体型の人に双極性障害(躁鬱病)の患者が多いと思われていたので、肥満型は双極性障害になりやすい性格と捉えられています。その為肥満型は、双極性障害のように、気分が高揚している時と、陰鬱になっている時が交互にくるように解釈されているようです。肥満型の人は元気がないような時もありますが、陽気な気分と憂鬱な気分が交互にくるというよりも、おおむね陽気な気分でいることが多いようです。陽気な性格の人でも、考え事をしていて寡黙になったり、気分がトーンダウンする時もあります。肥満型の場合はかなり太っていて、疲れやすいというのも元気がない場合の理由の一つとして考えられます。

膨よか型は、従来の心理学の分類で言えば、シェルドンの発生的類型論の内胚葉型の抑鬱型になります。膨よか型に当てはまる性格の傾向を、審美性気質と言います。審美性気質は、フロイトによるリビドー的類型では、エロティックなタイプになると思います。 それは、愛することを重要視する性格です。
審美性気質は、愛を追求する価値観を持っています。愛の方向性が自己中心的な方に傾くと、それが執着心という形で現れます。愛の方向性が人に向くと、独占欲が強くなり、愛する対象に依存するようになります。愛の方向性が物に向くと、所有欲が強くなり、欲しい物は何としても手に入れたくなります。
本来、審美性気質が追求する愛は人間愛ですが、性的な愛に傾倒する場合があります。それは、性体験によってエロスに目覚めてしまい、中には好色になってしまう人もいます。性的な事に関心が強くなると、セクシーな雰囲気の風貌に変わってくる場合があります。

痩せ型を従来の心理学の性格類型で言い表すとすれば、クレッチマーの気質類型論の痩せ型になります。痩せ型に当てはまる性格の傾向を、内閉性気質と言います。 内閉性気質の人には、発達障害の自閉スペクトラム症の特徴が当てはまる人も多くいます。
従来の心理学では、痩せ型の体型の人に統合失調症の患者が多いと思われていたので、痩せ型の体型に多くみられる性格傾向を、統合失調症になりやすい性格と捉えられています。 しかし、統合失調症の患者は、ぽっちゃりした体型の人にも多いようです。それは、統合失調症の薬の副作用で太る場合もありますが、現在では、副作用が抑えられている薬も普及しています。

 

体の線が細い人は、心が繊細な傾向があります。そして、体質も敏感な人が多い。その為、人や環境の影響を受けやすく、ストレスにより精神のバランスを崩してしまう場合があります。このことから、細い体型の人(痩せ型 華奢型 薄型)は、HSPの傾向があるとも言えます。

HSPとは、Highly Sensitive Personの略で、心理学者のエレイン・アーロン博士によって提唱された概念。 刺激に対して非常に敏感で、繊細な気質をもって生まれた人、という意味です。 感受性が強いため、ストレスを感じやすい傾向があります。 


逆三角型を従来の心理学の分類で言えば、シェルドンの発生的類型論の中胚葉型になります。逆三角型に当てはまる性格の傾向を、決分性気質と言います。ドイツの精神病理学者であるクルト・シュナイダーの精神病質の分類では、発揚者に当てはまると思います。ちなみに、骨太型の性格である熱情性気質も、発揚者に当てはまると思います。発揚者は精神病質人格の一つで、気分がいつも明るく活動的だが、興奮しやすいため自制心の欠如によって問題行動を起こす場合もある性格のことです。

華奢型は、従来の心理学の分類で言えば、シェルドンの発生的類型論の外胚葉型になります。華奢型に当てはまる性格の傾向を、情緒性気質と言います。情緒性気質には、DID(多重人格の病名である解離性同一性障害)患者との共通点が多くあるので、情緒性気質の性格傾向は、DIDの病前性格(特定の疾患にかかりやすい性格)と言えるのではないかと思います。詳しくは、DIDの病前性格の項目をご覧下さい。

薄型を従来の心理学の分類で言えば、シェルドンの発生的類型論の外胚葉型になります。薄型の性格である神経性気質は、神経症(現在は病名が不安障害や強迫性障害と表現されることが多くなっています)になりやすい気質と解釈しています。神経性気質は神経が繊細で、細かい事が気になる性格です。心配性なので、色んな事に不安を感じやすい。とても人目を気にする。一度落ち込むと立ち直りずらくて、嫌な事がなかなか忘れられない。こういう特性は、神経症になりやすいと思われる性格の特徴があります。