自己顕示性の外向と内向の相違

 

従来の心理学では、自己顕示性が強い性格は外向的な性格と解釈される事が多いようですが、自己顕示性が強い性格には、内向的な性格も存在します。ここでは、自己顕示性が強い性格の外向と内向の違いを、具体的に性格を比較して説明します。

自己顕示性が強い性格で、外向的な性格は顕示性気質、内向的な性格は内向型顕示性気質を略して内顕性気質と呼んでいます。顕示性気質と内顕性気質の性格は、共通する部分と対照的な性質の部分があります。特に対照的な性格の特徴に焦点を当てて比較し、顕示性の外向と内向の違いを説明していきます。

 

顕示性気質と内顕性気質に多く見られる体型もあり、それに関しては、詳しくは大人型と小太り型の項目をご覧下さい。

 


顕示性の外向と内向の相違

 


顕示性 (外)外向的 (内)内向的

性格の名称

(外)顕示性気質

(内)内顕性気質

体型の名称

(外)大人型

(内)小太り型

性格傾向に類似性があるパーソナリティ障害
(外)自己愛性パーソナリティ障害 無自覚型
(内)自己愛性パーソナリティ障害 過剰警戒型

自意識の傾向
(外)自分に自信を持っていて、うぬぼれが強い。
(内)根本的に自分に自信がない。

対人面での態度
(外)普段から積極的に自己主張をする。
(内)シャイな性格だが、人が集まると喋って場を盛り上げる。

優越感の感じ方
(外)人より勝る事で優越感を感じる。
(内)人を負かす事で優越感を感じる。

勝負の挑み方
(外)積極的に人に勝とうとする。
(内)勝てない勝負には最初から挑まない。

人間関係における願望
(外)周りの人全てのリーダーになりたがる。
(内)小さいグループを作って、そこでリーダー的存在になろうとする。

指示の出し方
(外)リーダーシップを発揮して指示を出す。
(内)自分は表に出ないで、人を使って目的を果たそうとする。

人に従う態度
(外)へりくだるのが苦手で、人に頭を下げたり、指図されるのを嫌う。
(内)力のある者には逆らわず、素直に従う。

怒りを感じた時の態度
(外)頭にくると、すぐに口に出して言うか態度に表す。
(内)頭にくる事があっても、怒りの感情を表面に出さずに、根に持つ場合がある。

悪口の言い方
(外)頻繁に人の悪口を、大勢の前で堂々と言う。
(内)頻繁に人の悪口を、噂話で言う。

気前の良さ
(外)気前がよく、自分のグループに属する者にはよく奢る。
(内)ケチな人が多くて、あまり奢ったりしない方だが、自分を慕ってくる者には面倒見がいい。

 


顕示性気質は自分に自信を持っていて、うぬぼれが強い。顕示性気質の自己顕示性は、普段から積極的に自己主張する外向的な顕示性です。

内顕性気質は、基本的には人見知りでシャイな性格です。自分に自信が持てないことを解消する為に、人に注目されたい願望があるように思えます。内顕性気質の自己顕示性は、普段は割と大人しいですが、人が集まると喋って人の目を自分に惹きつけようとするような、やや消極的で内向的な顕示性です。

顕示性気質は、負けず嫌いな性格なので、積極的に人に勝とうとしていて、自分が一番でないと気が済まないところがあります。「 いつか一番になってやる」と思っているような野心があるので、常に先を見据えていて先見の明があります。全てにおいて人に勝つのは無理なので、何かの分野で大きい事をしたいと常に思っています。その為パイオニア精神があり、今まで誰も成し得ないような事をする場合もあります。

内顕性気質の性格は、負けず嫌いなところもありますが、勝てない勝負には最初から挑もうとしません。周りの人から自分の存在を認められたいと思う気持ちは強いですが、小心でシャイな性格なので、小さいグループを作って、そこで主導権を握ろうとします。後ろ向きな考え方をするので、過去の事を気にする傾向があります。その為、人の過去の事も気にするので、「あの人は昔はこうだった」というような噂話を好んでします。

顕示性気質の人は、人より勝ることで優越感を感じます。それは誰にでもありがちな感情ですが、人に負けるのを極端に嫌います。メンツを気にするので、特に人前での勝負は、負けた場合は恥をかかされたと思います。そうなるとリベンジに執念を燃やし、勝利するまで戦いをやめない時もあります。

内顕性気質の人は、自分よりも劣っている人や運の悪い人など、優越感を感じられる対象の人物と自分を比較することにより、一時的に劣等感から解放されます。この感情は他者と比較することで、自分は人より優れていると自覚する勝ち誇るような優越感ではなく、自分より劣っている人がいると自覚する安堵感を得られるような優越感です。優越感を感じる為に、気の弱い者に対して威張ったり、虐めてしまう場合もあります。つまり内顕性気質は、人を自分よりも負かすことで優越感を感じる傾向があります。
根本的に自分に自信がないので、劣等感や嫉妬心を感じやすい性格です。普段比較して優越感を感じている対象が、自分より勝っていると思ったり、自分より認められていると感じる時は、その現実を許容しがたいようです。許せないと思った時には、陰口を言って相手の評判を落としたり、我慢できずに嫌がらせをしてしまう場合もあります。

顕示性気質と内顕性気質に共通する性格は、自己顕示性が強い、批判的、人の好き嫌いが激しい、ユーモアがある話術、負けず嫌い、執着心が強い、短気、権威主義的などの特徴があります。顕示性気質と内顕性気質の権威主義的な傾向に関しては、詳しくは権威主義的な気質の項目をご覧下さい。